(Zillow社報告を要約)
米国住宅資産総額は52兆ドルに達する見込みである。米国住宅ポータルサイトの最大手Zillow社がこのほど住宅総資産額についての調査結果を発表した。
米国住宅総資産額の推移
(2017年から2023年まで、X10億ドル)
過去1年間で2.6兆ドルの増加を記録した。2022年後半期に住宅市場がスローダウンしたが、危惧されていた長期化はなく、2023年に入ってからは堅調に市場が戻っている。原因は急激な住宅ローン金利の上昇により買い手が購入を控えたためである。総資産増加に寄与したのは価格の上昇によるものではない。昨年の上昇率は1.3%とほぼ横ばいで終わっているが、新築物件の供給数が増加したことによるところが大きい。ホームビルダーが今まで不足していた新築の供給数を増やしたためである。
中古物件市場は多くの売り手と買い手の両者が取引を控えたため、取引数は記録的な少なさであった。その分を新築の供給で補った形である。ローン金利の上昇により買い手は価格帯を下げる動きに転じている。多くのビルダーはこの動きを察知して小型で価格の安い商品を市場にリリースして販売している。また土地利用を高めるため、より密集度の高い新築を建設しようとしている。ただ地域によっては密集度の高い開発に反対する動きが強く、ここで地域差が見られる。
住宅資産総額が大きい地域はニューヨーク、ボストン、サンフランシスコ、そしてロサンジェルスである。これに加えてマイアミが加わった。マイアミは2021年に第9位であったが、昨年第5位に上昇してそれまでの第5位であったワシントンDCを抜いている。住宅資産総額の伸び率で高かったのはフロリダ州に多く、トップ6地域のうち4地域が同州にある地域が占めた。タンパ(+88.9%)、マイアミ(+86.6%)、ジャクソンビル(+82.4%)、オーランド(+72.3%)の4地域である。フロリダ州は州全体で見るとカリフォルニア州に次ぐ資産額で第2位になった。それまで第2位であったニューヨーク州は人口が増加しないこともあってハウジングが増加していない。
カリフォルニア州はダントツの第1位で総資産額にして10兆ドル、シェアにして20%を占めている。ついでフロリダ州、ニューヨーク州、テキサス州、ニュージャージー州の順でトップ5が構成されている。
住宅資産総額州別トップ10
(X10億ドル、左から資産総額、2022年ピーク時からの変動額、2022年ピーク時からの変動率)
住宅資産総額地域別トップ20
(X10億ドル、左から資産総額、2022年ピーク時からの変動額、2022年ピーク時からの変動率)