自宅購入による損益分岐点は平均 13.5 年

(Zillow社報告を要約)

米国住宅不動産はここ数年で急激に価格が上昇しこの1−2 年で住宅ローン金利が2倍以上に上がった。 この影響で今住宅を購入した場合次に売却して少しでも利益が出るまでに平均 13.5 年を要することがポータルサイトの最大手である Zillow 社の調査で分かった。

同社による調査では購入時と売却時(予想)における住宅の平均的な価値、売買にかかる諸費用、コミッ ション、ローン金利支払い、メンテナンスコスト(保険、修理、固定資産税など)を算出してデータを出 している。頭金の額や地域によって損益分岐点は違ってくる。ローン金利は7%で試算している。

頭金の場合でみてみよう。

• 3%なら 13.5年
• 5%なら 13 年と3ヶ月
• 10%なら 12 年と7ヶ月
• 20%なら 11 年と3ヶ月

このように頭金が多いほど期間が短くなる。
ロケーションで見ると物件価格の上昇率が高いカリフォルニア州サンフランシスコ市やサンノゼ市では 7.5年であるが、価格が安く値上がり率がこれまで低いルイジアナ州バトンルージュ市、テキサス州エル パソ市などでは 20年以上かかる。

エリア別損益分岐点(5%の頭金)

長期間かかるエリア

• オハイオ州クリーブランド
• ルイジアナ州バトンルージュ
• テキサス州エルパソ
• オハイオ州アクロン
• インディアナ州インディアナポリス

短期間のエリア
• カリフォルニア州サンノゼ
• カリフォルニア州サンフランシスコ
• カリフォルニア州サンディエゴ
• カリフォルニア州ロサンジェルス
• フロリダ州マイアミ
• ワシントン州シアトル
• テキサス州ダラス
• ジョージア州アトランタ

このように地域格差がずいぶんある。

ローン金利が 8%前後の現在、損益分岐点は以前よりかなり長期化している。しかし固定金利で購入すれ ば購入してから少なくとも支払額が増加することはないので、賃貸してレントが上昇するより家計が安定 することは確かである。利息が下がった時にローンの借り換え(リファイナンス)をすればローン支払額 をさらに下げることも可能である。長期的に見れば住宅の購入によるメリットが大きい。
40 万ドルの住宅ローンで見てみると金利が 5%と 7%では毎月の利息支払いに$500 の差が出てくる。こ れで損益分岐点が大きく変化することは言うまでもない。

当初に述べたここ数年における価格上昇と高金利によってアフォーダビリティー(住宅を購入できる人の 割合)は過去 20 数年で最悪の状態だと言われている。そのため損益分岐点に達する期間が長期化してい る。チャーチルモーゲージ社代表マットダンバー氏は「住宅購入者にとって損益分岐点に早く達すること は非常に重要である。この時点に立つことで家計の安定、資産の形成、移り変えなど新たな支出への予定 などが可能となるからだ。」と述べている。また同氏は「採算分岐点が長期化していることにより今後米 国民は住宅の保有期間がさらに長くなるだろう。多くの人にとって損してまで最大の資産である住宅を売 却する理由がない。」と付け加えている。