火災地域のその後

(レッドフィン社レポートを要約)

不動産大手のレッドフィン社はこのほど 1 年前に起きたロサンジェルス大火災のその後と同地域の住宅市 場についてレポートを発表した。以下その内容を要約してみた。

カリフォルニア山火事が起きてちょうど 1年になる。パシフィックパリセーデス、アルタデナ、マリブの3地域で起きたこの山火事はロサンジェルス地域に大きな傷跡を残した。その後の復興はなかなか進まず 焼けた土地のまま売り出す人が増加している。その土地を多くの投資家が購入している。 パシフィックパリセーデスでは昨年第3四半期に売却された 119 区画の土地のうち 40%に当たる 48区画 が投資家の手に渡っている。アルタデナでは 61区画のうち 44%に当たる 27区画、マリブでは 43区画のうち19区画を投資家が購入している。

レッドフィンエージェントでアルタデナをテリトリーにしているシルバカヤリアン氏は「アルタデナでは 住民が物件を焦って売らないよう引き止める運動が起きている。多くの物件が一度に売却されると地域が 大きく様変わりする可能性が高いためである。同地域の物件は大半が 1940−1950 年代に建てられた戸建てである。投資家は家が焼けたあとに残った土地を低い価格で買い漁っている。安くで売るのは本意ではなくても売却を余儀なくされる高齢者のオーナーが多い。復興計画が一向に進まずまだほとんどの物件は許認可申請の段階で工事も始まっていない。オーナーのかけていた火災保険の多くは保険額が少なく保険金だけで損害を取り戻すことが難しい。仮設住宅や代わりの賃貸物件に対して保険会社が支払っている補償額も1年で減額されるかなくなるケースが多い。あと年齢から今後住める期間も考慮すると売るという選択肢が現実味を帯びてくる。

パシフィックパリセーデスやマリブでは少し状況が違ってくる。富裕層が多いため焼けた家はそのままにしてセカンドハウスに住むか、もう一軒購入するケースが多い。同地域で活躍するエージェントジャスティンボイド氏は「一人のクライアントは焼けたパシフィックパリセーデスの土地に家を建てる間に住める 家をサンタモニカで約5億円で購入している。もう一人はマリブで焼けた家をそのままにしてパシフィックパリセーデスで焼けなかった家を7億で購入している。今後も他の地域で購入する人と被害のあった家を売却する人は増加する。」と説明している。

火災の後に売り出される土地は珍しくないが、これだけの数の土地が一気に売りに出されることは珍しいという。そのため供給過多となり在庫数増加とともに買い手市場にシフトしている。パシフィックパリセ ーデスでは一年前に 7 区画だった売り出し土地が昨年末に 309 区画に、アルタデナでは2区画から 225区画、マリブでは 125区画から 214 区画に増加している。前述のカヤリアン氏は「売れ残りが多いため売り 手は価格を落としている。アルタデナでは区画あたり7500-9000万円くらいに下がっている。家が残って いれば 1億5000万円くらいである。」という。

3地域で売却された土地の中間価格はパシフィックパリセーデスで 2億4000 万円、アルタデナで 7500万円、マリブで2億円となっている。ただ簡単に価値を出して売りにくい物件も多い。いまだに復興の動きすら見られず、周囲のインフラやライフラインも当分整備されそうにないエリアでは価格のつけようがない。

建物が残った物件の売買を見てみると、昨年第4四半期における戸建て売却数はパシフィックパリセーデスで31件、アルタデナで58件となっている。 カヤリアン氏は「焼けなかった家を売却するには価格を低めに設定すること、灰や焦げ、危険物質をしっかりと除去・清掃することが重要である。また地域における火災保険はますます保険料が高くなるか場合 によっては加入できない地域もあるため買い手にとっても厳しい状況である。」と述べている。 さらに同氏は「私の家も被害にあったが、幸い壁一面の消失で済んだ。しかしその修復費用は灰と焦げの 除去・清掃代が 1000万円、鉛の被害修復で 2500万円、壁が 300万円、庭が500 万円かかる。保険ですべてが賄えるかどうかわからない。特に灰と焦げの除去・清掃代の高さには驚いている。場合によっては全焼して建て直した方が良いのではないか。」と説明している。。