Zillow 社ルール変更

(ドーリージン氏レポートを要約)

我々の日常生活で Zillow は家探しでは欠かせないツールとなった。売り手、買い手、エージェント、モーゲージ(住宅ローン)エージェントにとって Zillow は最初に検索するサイトである。
その Zillow はこのほど売り手が物件を掲載する際のルールを変更した。ルール変更によって全ての利用者がかなりの影響を受けることになる。

まず売り出し物件は必ず媒介契約が締結されて 1日以内に MLS(米国版レインズ)に掲載すること。このルールは NAR(全米不動産協会)がメンバーエージェントに要求しているクリアーコーポレーションポリシーと呼ばれるルールと同じ条件である。
MLS は各地域ごとに私企業が運営する不動産データベースである。米国内で 500 以上の MLS が存在し、エ ージェントや不動産会社同士で情報を共有するだけでなく Zillow を代表とする不動産ポータルサイトにもリアルタイムでそのデータが共有されている。日本と異なるのは MLS のおかげで中小の不動産企業でも 大手と同じ物件情報力を有することができる。またその参加率も非常に高く大手不動産企業といえども MLS への掲載は不可欠なものでありいわゆる物件の囲い込みが非常に少ない。

今回のルール変更にはさらに厳しい条件が追加されている。1日以内に MLS に掲載しなかった物件については売り手とエージェント間の媒介契約の期間はずっと Zillow に掲載することが禁じられている。つまり MLS への掲載が1日遅れても Zillow と Trulia の利用ができなくなる。 もちろん自社だけの物件としてうまく MLS に掲載する方法はあるが、Zillow で物件を掲載できないデメリットははるかに大きい。Zillow 社が描く住宅不動産ビジネスは誰もが1カ所で全ての物件情報が見られることで、情報が大手や一部の企業だけに偏った世界ではない。日本の不動産ビジネスモデルとの違いはここにある。

しかし現実的には一部のエージェントや売り手が不動産会社の HP や広告だけに限定して販売しようとしている。この戦略によって一部の買い手は情報ソースがあれば他の買い手が知らない情報を得ることができて有利になる。いわゆるお宝物件の発想である。
Zillow 社は全ての買い手が全ての物件情報にアクセスできるようにするべきであると考えている。一部の売り手やエージェントが情報へのアクセスをブロックすると買い手にとって情報へのアクセスという点で格差が発生してしまう。情報アクセスの隔たりや格差が少ないほどより早く物件が取引され価格もムラのないものになるというのが今回ルール変更した大きな理由である。

またルールを守らないエージェントに対して Zillow 社はルール違反者として登録されるという。違反が3回に達するとその物件の期間中 Zillow への掲載は一切できなくなる。もたその後も違反が続いた場合、エージェントは Zillow から永久追放される。

エージェントとして今後 Zillow 社と付き合うためにやって良いこととやってはいけないことは以下のようになる。

やって良いこと

• 売り手が媒介契約と重要項目説明書に署名すると物件情報を開示する。
• 1 日以内に MLS に’Coming Soon’という項目で掲載する。
• 不動産会社内で同じ物件情報を流してプロモーションをかける。
• ソーシャルメディアに’Sneak Peak’という形でプロモーションをかける。物件住所や価格、詳
細については記載しない。

NG

• 1 日以内に MLS に掲載しないで Zillow への掲載を期待すること。
• 会社内で得たクライアントではないのに MLS に掲載していない物件情報を買い手に提供するこ
と。
• MLS に掲載しないままポータルなどに掲載すること。
• MLS に掲載しないでオープンハウス、バーチュアルツアー、不動産会社 HP 掲載、ご近所にサイン
を立てることなどの行為。

売り手にとっても Zillow 社の新ルールを理解することは重要である。エージェントが違反した場合物件 情報が Zillow に載らなくなる可能性がある。Zillow 社と関わるのが嫌な場合でも必ず MLS に掲載することを薦める。そうしないと他のポータル掲載されない。

どうしてもプライベートで MLS に掲載したくない場合は売り手と書面で合意を交わす必要がある。Zillow 社から違反者と登録されるだけでなく、売り手からも責任を問われる可能性がある。
以上今回の変更は最大で最強のポータルである Zillow が MLS と NAR のポリシーをリスペクトする方針のもとに実施されたと考えて良い。今後ポータル他社も追随すると見られる。