2024 年住宅市場予想

(ウィンドミア不動産社マシューガーデナー氏の報告を要約)

2024年における米国住宅市場の動向を10項目に上げてみた。

1. バブルにはなっていない
バブルを心配する声はよく聞かれる。住宅市場が崩壊するのではないかという心配は今のところなさそうである。昨年の市場を見ても前年より予想を上回る結果となった。高価格、高金利、小在庫のトリプルパンチは今年も続きそうだが、バブルの様相は見られない。ローン残高が資産価格をこえるUNDER WATER(資産負債逆現象)はごく僅かである。

2. 住宅ローン金利は下がるがすぐには下がらない

今年の初めには住宅ローン金利が下がるという昨年に多くのエコノミストが行った予測は外れた。FRB が予測していた以上に米国経済の強さが目立ったため政府は金利の引き下げを延期している。インフレに対して高金利を続けるしかない。ただ実体経済の指標を見ると消費水準などかなりスローダウンしており住宅金利のピークは過ぎたと見て良い。ただ現在7.5%の金利が一気に6%以下になるとは思えない。

住宅金利の推移・予想

(ファニメ、MBAより)

3. 売り出し物件の動きは少し活発になる

昨年と同様売り出し物件の数は相当低いレベルになる。3%前後の低金利を持っている売り手がその倍の金利を支払って買い換えるという気分にならないのは当然である。ファニメによると自宅住宅ローンを支払っているオーナーの80%は金利が 5%以下であるという。現在彼らが支払っている金利より 1-1.5%高い程度なら新たな借入れをしたいと考えるはずである。そうなれば売り出し物件数は一気に増加するだろう。

4. 住宅価格は少し上昇する

昨年住宅価格は少し下がると予測したエコノミストは間違っていた。今年も同様下がることはなさそうである。ただ上昇率は 1%前後と低いレベルになる。

5. 住宅価格が落ち込んだ地域は価格が戻る

パンデミックの時期に急速に価格上昇した地域の一部ではパンデミック後価格が下落している。こういった地域において価格が戻るペースは米国全体より遅いペースになると思われた。しかし実際にはほとんどの地域で元の価格に戻るかそれを超えて最高値となっている。今年もこの傾向は続く。

6. 新築比率が上昇する

新築件数は増加してビルダーの多くが建築ラッシュの時期に遭遇している。全住宅販売数に占める新築のシェアが上昇している。中古物件と比較して在庫数が多くなっているため買い手市場寄りに傾いている。米国ホームビルダー協会の調査によれば、ビルダーの32%が販売価格を下げ、 62%がモーゲージバイダウン(売り手が買い手の住宅ローン金利を低くするためにコストを支払 うこと)やその他のインセンティブを提供しているという。

7. 購入可能価格は下落

前述の高価格、高金利、小在庫のトリプルパンチによって住宅は多くの米国民にとって高嶺の花となっている。購入可能世帯が減っている。購入できる場合でも以前より購入価格を下げないとローンが承認されない。いわゆる AFFORDABILITY が下がり続けてロサンジェルスでは 10%前後と いう状況になっている。価格の下落、金利の低下、所得の増加が見られないとこの数値が改善しない。特に若い新規購入者にとってはかなり厳しい状況である。

8. 政府のサポートが必要

連邦政府、地方自治体がともに AFFORDABILITY の問題に真剣に取り組む必要がある。さまざまな 関連法案が現在提出されていることは歓迎したい。土地利用に関する規制を見直すこと、そのプロセスを少しでもスピードアップすること、許認可のプロセス見直しとそれに関わるビルダーへ の費用改善すること、低所得者や新規購入者に対する資金・ローン支援などがその典型である。

9. 競売は少なく市場への影響力はない

リーマンショックの時期には競売物件や任意売却物件のシェアが地域によっては70-80%を占める という異常な状況があったが、現在競売物件の割合は全米で1%地域によっては 0.1%にも満たないところがある。今後クレジットカードなどを筆頭に支払い滞納のケースが増えつつあることは事実である。しかしそれがリーマンショック時代のレベルに戻るとは到底思えない。支払い滞納に陥りやすいサブプライムローンやEASY QUALIFY LOAN はほとんど存在しない。

10. 販売数は 15 年で最低水準

昨年の住宅市場は販売数でリーマンショック直後の2008年以来の低水準であった。今年は金利が少し下落して在庫数が少し上昇するため販売数は年間で440万件くらいまで見込めると思う。しかし需要が供給を上回る状況は変わらない。売り手市場が続くため買い手にとって夢の住宅取得は依然として厳しいものとなる。