テキサス州がさらに魅力的に

(ジムダーリンプル氏記事を要約)

ここ5−6年間で最も人気がある州の一つがテキサスである。コロナ以前でもテキサス州は人気があった が、コロナ禍でリモートワークが主流になると同州の不動産がさらにホットになった。同州ではさらに人 を呼び込む政策を立案している。

州別固定資産税率の比較

(年率% 税率は実効中間値。カラーが濃い州ほど税率が高い)

そのメインとなるものが固定資産税の減額である。州知事であるジョージアボット氏は「テキサス州民は 家を賃貸ではなく購入したがっている。減税案によりより多くの人がマイホーム購入を実現できるはずだ。」と述べている。減税のために目論んでいた予算が 176 億ドルあり、そのうちすでに使った分を差し 引いても 123 億ドルの予算が残っている。 同氏と副州知事であるダンパトリック氏の間で固定資産税減額に向けての提案が出され協議が進んでい る。 公立学校にその一部を支払うことによって、実際に州民が支払う教育費が下がるという案が出されている。または Homestead Exemption(家屋差し押さえ免除)という制度を使って固定資産税の課税対象額を原 口よりさらに下げるという案も出ている。現在同免除額は 4 万ドルであるが、これを 10 万ドルに引き上 げる案である。 現在議会において審議中でどのような形で減額が実現するかはまだわからない。いずれにしても固定資産 税が下がることは確実で、これによりテキサス州に引っ越したい人がさらに増えそうである。 住宅価格はここ数年で急騰して平均$298,325 となったがそれでもカリフォルニア州の平均$728,121 と比 較すれば随分安い。テキサス州とは逆にカリフォルニア州は人口が出超を続けている。 ニューヨーク州、ニュージャージー州もカリフォルニア州と同様にテキサス州への移動が増加している。 2000年から2022年の間にテキサス州は 900 万人の人口増加があった。これはどの州よりも多い。

住宅価格が比較的安い反面固定資産税が非常に高いことが大きなマイナス要因となっている。同州は全米 で7番目に一戸あたりの固定資産税の支払額が高いとされている。そのためローンを含む毎月の支払額で は結構な額を支払っていることになる。 ソーシャルメディアなどで固定資産税の高さを嘆く声が多い。コロラド州から引っ越してきたある女性は30 万ドルでテキサス州にマイホームを購入したが、年間の固定資産税が 9000 ドルを超えるためあまり節 約になっていないと嘆いている。

ソーシャルメディアに出ている苦情はかなり強くなってきた。このままではテキサス州はマイホームが安くて住みやすいという評判に傷がついてしまう。そのため州政府もとうとう本腰で動き始めたというわけである。アボット氏の案が通るか、パトリック氏の案が通るか政治的なバトルが続いている。下がれば同州の魅力はさらに増すことになる。

テキサス州における住宅価格はこの 10 年で上昇の一途をたどっている。最近7%の住宅金利のおかげで ようやく価格の上昇にブレーキがかかった状態であるが、金利の動向次第でまた上昇する可能性がある。 ローン利率とは関係なく固定資産税の税率は同州住宅の魅力を大きく左右する要素であると言える。

テキサス州および米国における戸建て住宅価格推移の比較

米国とテキサス州における年間人口増加率推移

(% 2000年から2022年まで。)