(メガンレオンハート氏の記事要約)
2週間に一度Zillowでご近所で住みたい家を探すのが習慣になっている。しかし楽しくない。自虐的行為に等しい。
住宅価格は恐ろしく高騰している。加えて住宅ローン金利が急騰したので、毎月の支払いは以前に比べて信じられないほど値上がりした。
住んでいるアパートの道路沿いにある4ベッドルームの家の売り出し価格は110万ドルである。同じ道路沿いにもう少し大きくてリモデルされた家があるが、これになると325万ドルともう想像を超えた域に達している。
100万ドルの売り家が見つかったとして20%の頭金と諸費用で33万ドルが必要となる。このお金があれば全米の他の地域で平均的な家が現金購入できる。住んでいるエリアがニューヨーク市内なので住宅価格がたかいのは仕方がない。その分所得も高いのでしっかりと働いている限り賃貸アパートを抜けてマイホームを購入できるはずなのだが、実現できていない。住んでいるエリアはニューヨークしないでは決して高級住宅地ではない。しかし戸建価格は昨年だけで14.3%上昇して平均価格が107万ドルとなっている。レッドフィンのアプリではこの地域の市場は「少し競争がある」という程度らしい。Zillow社の見積もりでは前述の4ベッドルームハウスは110万ドルの価値があると出ている。でもガレージはおろかパーキングもない家である。20%の頭金で毎月の支払額は7474ドル(102.7万円)となる。収入の50%(通常銀行審査では30%以下)を住宅ローンに充てても年収は18万ドル(2474万円)以上必要となる。
価格が安い地域を探すといってもほとんどどのエリアでも値上がりが激しく戸建、マンションにかかわらずその地域における所得の伸びをはるかに上回っている。特にはじめてマイホームを購入する新規購入者にとって事態は深刻である。ハリスポール社が全米2000世帯を対象に行った調査によると、米国人の61%が住んでいる地域で家を買えない状況であるという。25-41歳のミレニアル世代ではさらに高い69%となっている。回答者中47%の人がマイホームが高過ぎて買うことが不可能であると答えている。
ミレニアル世代では56%に達する。
筆者も含めてミレニアル世代はマイホームを諦めつつある。そこまでしてマイホームを購入する意味がないと考えている。同世代回答者中56%がマイホーム購入を諦めるほかないと回答している。おそらくパンデミックになる前に購入すればよかったのだろう、複数の買い手と値段をせり上げてでも3%前後の低い住宅ローン金利の時期に購入すべきだったのだろうと今になってマイホームをゲットできなかった後悔が残る。現状でマイホーム価格はピーク時より少し下落したが、その分金利は6.5%前後と2倍以上に上がった。購入する環境が良いとは言えない。
調査中53%の回答者がローン金利が大幅に下がるまで、マイホーム購入は中断するという。ただ問題なのは現在賃貸している人の76%が可能であれば3年以内にマイホームを取得したいと考えていることである。ただ待てば良いということではない。その間レントは確実に上昇するため、結局頭金にするための貯金は増えないのである。
ではどうやってマイホーム取得が可能になるのか。パンデミック、ウクライナ情勢、インフレーションと世の中が不安と不確実性で満ち溢れている時期において、マイホームは安全と快適を提供してくれるシェルターである。その需要は減ることがない。
多くのミレニアル世代が住んでいるエリアは都市圏で密集度の高いエリアである。購入可能なのは都市からすこし離れた郊外か都市圏と関係のない田舎である。リモートワークが進み自宅勤務や月に数回オフィスに通うハイブリッド勤務が普及したため都市圏に住む必要性がかなり減少している。ミレニアル世代ではさらにその傾向が強い。回答者中77%の人が郊外や田舎からリモートでも現在の仕事ができると答えている。一方どうしても都市圏でないと仕事やライフスタイルを満足させることができないという人も多い。筆者もその一人である。ニューヨークのネットワークやカルチャーから離れたくないのだ。
マイホーム取得のもうひとつの手段は世帯収入を増やすことである。回答者中54%の人がルームメートや家族など誰か同居人を増やしてローン支払いを一部負担してもらいながら住むことは可能だと考えている。実際オーナーだけで住んでいるケースは19%にとどまっている。
夫婦や親子といったダブルインカムをしても現在マイホームを所有維持していくことはむずかしい。2世代・3世代住宅、シェアードホーム、クラウドファンディングによる共同購入など何かクリエイティブな発想が求められている。
筆者の両親ははるか離れたところに住んでいるため、いくらリモートでも同居は不可能で、そうなると当分今のアパートにいるしかない。多くのミレ二アル世代と同様に金利が大幅に下がるか、予算内に収まる物件が出てくるかを待つほかない。変な話であるが、Zillow物件探しは本人の好き嫌いに関わらず筆者の趣味になってしまった。