不動産ニュース

Zillow 社自社エージェント採用

Zillow 社は物件の売買に携わる自社エージェントを 2021 年 1 月から採用することを決定した。これまで同社で は各地域で活躍するエージェントと契約を結んで仲介をサポートしてきた。あくまで同社は紹介するだけで自 社で仲介するビジネスモデルではなかった。

同社取締役エロールサミュエルソン氏によれば「クライアントにとって快適で満足のいくサービスということ になると我々が取引において最初から最後までサポートするということが不可欠である。クライアントは一人 のエージェントが担当者ですべてを任せられていることで安心できる。」と述べている。
ブローカー(仲介会社)は Zillow Home 傘下にライセンスを持ったセ ールスマンが所属する。セールスマンは全員給料制で米国で一般的な 独立採算制完全歩合制エージェントとは異なる。対象物件はあくまで Zillow Offer で同社が直接売買するものに限られ、一般の仲介につい ては引き続き地域のエージェント(プレミアエージェント)に紹介する形をとる。
サミュエルソン氏は「Zillow Offerは特殊な形態でありすべての売買で通用するものではない。そのため我が 社が直接関わる部分と紹介だけに終わる部分を分けた。特に従来型の仲介ビジネスにおいてはプレミアエージ ェントによるサポートが有効である。また Zillow Offer においても地域のエージェントが買手や売手をサポー トした場合、コミッションを支払う。」と説明している。

同社ライバルにあたるオープンドア、オファーパッド各社では自社エージェントによる自社物件以外の仲介ビ ジネスをスタートさせており、Zillow 社とは異なるアプローチを試みている。レッドフィン社はもともと仲介 ビジネスから始まり、のちに iBuyer プログラムを追加したため自社物件、仲介に関係なく自社エージェントが サポートしている。
Zillow Offer は 2018 年にフェニックス市で最初にスタートしたサービスでスタート当時はインスタントオフ ァーと呼ばれていた。現在 25 都市圏で稼働している。同社では Zillow Home Loans や Zillow Closing Services (エスクローサービス)も加わり究極のワンストップサービスを目指している。今回 Zillow Home が仲介ビジ ネスに参入したことにより各地域で MLS(日本におけるレインズ)加入が予定されている。これまで Zillow は MLS に加入せず、プレミアエージェントのブローカーを通して MLS に搭載していた。

同社は第 3 四半期における業績を発表したばかりである。それによると、総売上は 6 億 5700 万ドルであった。 昨年同時期は 7 億 4520 万ドルであった。コロナウィルスにより同社 iBuyer プログラムが一時中断されていた ことが減少の主な要因である。しかしそのおかげで純利益は 4000 万ドルと過去最高額を記録した。 売り上げの内訳を見ていくと IMT(インターネットメディア&テクノロジー)部門が 4 億 1500 万ドルで最大で あった。同部門はインターネットを介した広告料が主な収入源となっている。プレミアエージェントのビジネス もこの中に含まれ、同カテゴリーは売り上げ 2 億 9900 万ドルと対前年同時期日でも 24%アップを記録した。い わゆる同社の稼ぎ頭である。
一方iBuyerを含むZillow Home部門の売り上げは1億8700万ドルでこの2年間で最も低い売り上げとなって いる。購入物件数は 808 件、売却物件数は 583 件、在庫数は 665 件となっている。売却 1 物件あたり$7506 の 赤字が発生している。同部門における税引き前純利益(損益)はマイナス 7600 万ドルであった。 Zillow Loans 部門における売上高は 5400 万ドルで対前年同時期比プラス 114%、さらにローン申請件数はプラ ス 300%と順調にビジネスを伸ばしていることがわかる。