不動産ニュース

キャッシュ購入の割合が30%

(リリアンディッカーソン氏の記事を要約)

米国住宅市場における購入の3分の1がキャッシュ購入という驚きのデータがこのほど発表された。発表したレッドフィン社によればこの数値の高さはリーマンショック後投資家が購入の大多数を占めた2014年以来であるという。昨年から比べても25%の上昇である。

いったいこの現象はどこから来ているのだろう。米国経済はパンデミックから急速な回復へと向かっている。一部の投資家は株式市場の値上がり益を不動産に移している。S&P500ではこの1年で36%も価格が上昇している。また解雇されずに済んだ多くの人にとって受け取った給料を外食や旅行、レジャーなどに使えなかったために貯金が増えたことは間違いない。さらにリモートワークにより交通費、自動車の経費を節約できただけでなく、都市部から郊外や州外に移った人々は安い物価のおかげでさらに経済的に楽になっている。

こういった理由が重なりキャッシュ購入が増え続けている。キャッシュを持っている人にとっては問題ないが、新規購入者やローンが頼みの消費者にとって厳しい状況となっている。全米各地で売り物件が不足する状況の中で少ない売り物件に複数の買手が集中する現在の市場において新規購入者やローンを予定する購入者はなかなか物件を確保できない状況にある。

売買に占めるキャッシュ購入割合の推移

(%、2001年から2021年まで)

(レッドフィン社より)

アイダホ州ボイジ市にあるレッドフィン社エージェントシャナペンドルトン氏は「先週70万ドルの物件をキャッシュで購入いただいた。全額証券会社の口座から支払われた。アイダホ州でこれほどのキャッシュ購入の波はこれまで見たことがない。カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州など近隣の州から100-200万ドルの家を売却して自然が豊かでのんびりしたボイジ市で家を購入する人が多い。彼らにとってローンは必要ない。」と述べている。 またパンデミック中不確定要因が多いため活動を中止していた投資家の動きも活発になってきた。

50週の中でもフロリダ州はキャッシュ購入の割合が高く一部の地域では50%を超えている。ウェストパームビーチ(52.6%)やネープルズ(52.5%)はその典型である。これはフロリダ州が温暖な気候とビーチのおかげでセカンドホーム・別荘が最も多いことが要因となっている。セカンドホームを購入する人はその多くがキャッシュ購入を決めている。またニューヨーク、シカゴ、ボストンなど大都市で冬の寒い地域からフロリダに移住を決める人も多い。リモートワークがかなり普及している兆候でもある。

逆にキャッシュ購入の割合が低い地域はカリフォルニア州に多く、オークランド(12.5%)、ロサンジェルス(16.0%)、サンディエゴ(16.2%)、サクラメント(17.7%)、サンフランシスコ(17.8%)といずれも住宅価格が高いところに集中している。

以下最新(7月11日)の住宅統計(オレンジカウンティー向け)を見てみよう。

● オレンジカウンティー過去1年間の値上がり: 戸建て(+27.8%)、コンドミニアム(+19.2%)、新築(+9.8%)
● オレンジカウンティー中間価格:$895,000(過去最高)
● オレンジカウンティーにおける持家率:48.3%
● 売り物件に占める100万ドル以上の物件の割合:51.4%
● 過去1年間の売却数増減:戸建て(+105.1%)、コンドミニアム(+141.9%)、新築(+92.2%)
● オレンジカウンティーの物件売却期間:24日(通常90-120日)
● 30年固定型住宅ローン金利:2.9%
● 15年固定型住宅ローン金利:2.2%
● 毎月の平均ローン支払額:$3885.92
● 2021年オレンジカウンティー住宅価格の値上がり率予想:2.0-4.8%
● 米国売り出し物件において売却価格が売り出し価格を超えるいわゆるオーバープライスの割合:43%
● 米国における競売物件の数:過去16年間で最低のレベル
● 米国において全持家世帯中住宅ローンがない人の割合:37%