不動産ニュース

カリフォルニア不動産協会、コロナウィルスによる市場縮小を予測

(アンドレアブランビア氏の記事を要約)

コロナウィルスの感染拡大が止まらない。カリフォルニア不動産協会ではウィルス感染により今年の州内住宅 市場は予測より下方修正する必要があると述べている。

3 月 12 日の時点でカリフォルニア州内において 175 名の感染者を確認している。カリフォルニア州知事ガビン ニューソム氏は 250 名以上の集会やイベントを 3 月末で全て禁止すると発表した。ロサンジェルス市内では小 中学校の休校を始めバーやクラブなどの閉店を全面的に行っている。大型ショッピングセンターの無期限休業も発表されている。

コロナウィルス感染前の同州住宅市場は今年 0.8%売り上げ件数が増加して 40 万 1200 件に達すると見られてい た。中間価格も対前年比で 2.5%アップと健全な市場の伸びを見せていると考えられていた。
カリフォルニア州中古住宅市場推移
[2015—2020 年、2020 年は予測、上から戸建中古物件販売数(X1000 戸)、対前年比(%)、中間価格(X1000 ドル)、対前年比(%)、アフォーダビリティー(%、中間価格の物件を購入できる人の割合)、30 年固定型 住宅ローン金利(%)]
(カリフォルニア不動産協会より)
今後ウィルスの感染の度合いや範囲、収束までの期間によって数値が変わると考えられる。ただ住宅ローンの 利子が下がっていることは市場にとって大きなプラス要因であり、必ずしもリーマンショック時の様な不動産 不況になるかどうかはわからない。

株式市場が低迷するために富裕層を中心とした高額物件の市場は直接影響を受けそうであるが、反面株式に変 わる投資家が機会を住宅に求めてくることが考えられる。特にカリフォルニア州は市場の安定性において米国 他州とは比較にならない。
不況になるかどうかの決め手は消費者の心理次第である。消費者の購買欲が落ちれば売り上げが落ち込み、そ れによって企業業績が落ち込めば失業率が上昇しマイナスのスパイラルに入る可能性がある。 FRB(米国連邦準備制度理事会)が公定歩合を 0—0.25%にまで下げる決定を行ったことは不況を防ぐための布石の一つである。

カリフォルニア不動産協会ではメンバー240 名位を対象にコロナウィルスについてのアンケート調査を行って いる。
回答者中 50%が販売件数でマイナス影響を受けると答えている。
売り出し期間についても 49%は売り出し期間 が長くなると答えている。しかし一方で販売件数は影響を受けないとした回答した人が 36%、売り出し期間も 長期化しないと答えて人が 38%に及んでおり、全面的なマイナスとはみられていないことがわかる。 価格では 40%がマイナスだと回答した一方で、45%の回答者がマイナス影響は受けないと回答している。
コロナウィルスによる影響
質問:コロナウィルスは以下のどの様なカテゴリーで影響を与えると思いますか? (グリーン:プラス、ブルー:マイナス、ライトブルー:影響なし。左から:売り上げ件数、売り出し期間、 価格、成約、供給数、競争)
(カリフォルニア不動産協会より)
成約数や供給数においてはマイナスとプラスとの差がさらに狭まっている。
コロナウィルスによりオープン ハウスを実施する件数は確実に 減っている。子供や老人がオープ ンハウスの家に入ることに対し て事前警告することを進める不 動産会社も登場している。 また売り物件や賃貸物件でアル コールや消毒をしていることを アピールするケースも多くみられる様になった。

今後コロナウィルスがどれだけ 拡大するのか、そのくらいの期間 で収束に向かうのか全く予想が つかない。予想がつかない、先が 見えないという不安感が余計に 事態を大きくしている。レストラ ンや小売店などサービス業での 休業が長期で拡大した場合、同業 種で働く労働者は契約社員が多 くまた賃金が低いため、解雇も含めて不況に突入する可能性は否定できない。そうなれば住宅市場への影響も 当然大きくなる。