購入時のステップ

米国の不動産購入のステップは下記となります。


◎ロケーション

犯罪率、教育水準などの統計を地元警察や学校区から入手するのも物件が位置する地域を知る上で有効です。地域の産業や人口の動向も住宅価格に影響します。ロケーションだけはその家から引っ越さない限り替えることはできないため、米国では不動産選びのキーポイントは1にロケーション、2にロケーション、3にもロケーションといわれています。その他にも所得水準や家族構成など、いわゆるデモグラフィックス(人口構成)も住宅環境を示す一つの指標となります。


◎フロアープラン

住宅の間取りがどのようになっていて、住む人のライフスタイルにぴったり合っているかを調べます。たとえば高齢者が家族にいる場合一階にベッドルームがあることが望ましいでしょう。カシードラルシーリングと呼ばれる高い天井があれば広々とした開放感が得られますが、冷暖房の効率は落ちるためそのプラス面とマイナス面を考慮する必要もあります。また最近の米国の住宅はリビングルームよりもファミリールームを重視しており、オープンキッチンとファミリールームが家の中心的な存在となっています。 同様に自宅で仕事をするためのホームオフィスや、AVやゲームをそろえたホームエンターテイメントルームなど多目的な部屋に対する需要も強いのです。家族が集まるスペースは全体に部屋と部屋の区切りを減らしできるだけオープンなものになっているのも特徴です。


◎コンディション

地盤沈下や洪水の心配はないか?基礎はしっかりしているか?シロアリの被害はないか?屋根の雨漏りは?配管は?こういった建物のコンディションは、気候の安定した南カリフォルニアでもまめにチェックする必要があります。一般的に米国住宅の建てつけは日本のレベルには及びません。もちろん交渉後エスクロー(※4.を参照)が開始されると、プロのインスペクターを雇って調査してもらい不具合があれば直してもらうよう売り手に交渉することができます。


◎インフォメーション

住宅に関するさまざまな情報の入手。固定資産税額、自治会(ホームオーナーズアソーシエーションズ)の有無、アメニティー、共益費、土地サイズ、床面積、築年、ビルダー、騒音や公害の発生源の有無、公共施設やショッピングなどの便といった家に関する情報をあらゆるソースから集めます。また近所の類似した住宅がどれくらいの価値で売れたかも、住宅の価値を決める上で大きな要因となります。 売り手の状況を知ることも大切です。離婚、転勤、買い替えなど、売り手が物件を売る事情はさまざまです。特に米国では平均の引越し期間は5~8年と短く、日本と比べて一軒の家にずっと長く住む人が少ないのが特徴です。 物件が決まったらエージェントに頼んで売り手との交渉に入ります。よく日本から来られたばかりのお客様は、オープンハウスや宣伝に出ているエージェントに直接交渉すれば安く購入できて有利だと思うようですが、これは必ずしもそうではありません。デュアルエージェンシーといって一人のエージェントが売り手と買い手の双方をサポートする場合、通常のコミッションは2倍もらえるためのエージェントは喜んでやりたがりますが、買い手にとっては値段やサービスが安くなるという保証はありません。むしろ一人のエージェントが利害の一致しない売り手と買い手を代表するため、かえって交渉は難しくなります。
交渉は買い手からオファーを売り手に出すというステップから始まります。重要なのは、エージェントにオファーを書き込んでもらうとき、必要と思われる条件をできるだけ詳しく入れてもらうことです。以下に条件の代表的な例をあげましょう。


◎インスペクション

これは家屋の状況を調査するフィジカルインスペクション、害虫などを調べるターマイトインスペクション、地質やがけ崩れの可能性を調べるソイル、ジオロジカルインスペクション、アスペストスなど有害物質を調べるトキシックインスペクションなどの調査を場合に応じて行ないます。調査結果によって再交渉やキャンセルも可能です。


◎他の家を売って得たお金を頭金にする場合

その家が売れてもいないのに売買契約を結ぶことにはリスクがつきまとうため、予定売却資金で購入するときの条件とします。


◎引渡し期日

いつ引越しできるようにするのか両者で調整を図ります。


◎ローン条件

ローン審査が通ることを契約の前提とすることです。鑑定価格も条件に出来ます。鑑定が低く出れば、再交渉やキャンセルが可能です。


◎家具やシャンデリアーなどどこまでを価格に含めるか明記する。

家具や器具、鍵に至るまで細かいことですが、後にもめることにもなるので最初に取り決めておく必要があります。


◎リキデーティッドダメージ

買い手の不履行により、取引が破棄された場合、売り手は手付金もしくは売買価格の通常3%のいずれか少ない方の金額を代償として与えられます。ちなみに米国では、日本のように手付金倍返しの制度はありません。


◎アービトレーション

買い手と売り手の間に争議が起きたときに、通常米国でおなじみの訴訟による解決は時間と費用を要するため、それを避けるために第三者(通常不動産協会が指定)の仲裁者による解決を図る制度。あくまで売り手と買い手が事前に両者合意した場合に限ります。


◎カウンターオファー

以上の様な買い手からのオファーに対して売り手が満足しなければ、売り手からカウンターオファーが買い手に対して提示されます。それでもまとまらなければ、さらに買い手からのカウンターオファーという形で行ったり来たりの調整が続き、両者が合意したらこれをアクセプタンス(受諾)といいます。いわゆる仮契約にいたるわけです。


◎エスクロー、タイトル保険

ローン手続き、アクセプタンスの後はいよいよエスクローの開始となります。エスクローは動産・不動産の売買の調整にかかわる第三者組織で、金銭の授受などの会計的機能から、契約書類の代行機能、タイトルカンパニー、銀行などとの連絡機能など幅広い機能を有します。エスクローは主に西部の州に限られ、東部ではこの機能を弁護士が受け持つことが多い様です。
エスクローの期間は通常30~45日ぐらいが主流です。この期間中にローンの手続き、鑑定、インスペクション、タイトルインシュランスなどの手続きが行われます。タイトルインシュランスとは物件に関する瑕疵、抵当権、使用権などを売買に際してクリアーにするための保険で、日本で主に司法書士が受け持つ機能と同じです。もし問題が発生した場合、調査とともに金銭的な損害に対して保険会社が保証することになります。この保険はオーナーが物件を所有して、ローンの借り換えをしない限り有効で更新の必要はありません。エスクロー完了間近になるとローンの借用証書(Note)と抵当権設定書類(Trust Deed)ができあがり、これにサインすればローン手続きは完了です。さらに修理箇所と物権引渡し前の確認のため、ウォークスルーインスペクションを行います。

こうしてすべての手続きが済むといよいよエスクローの完了となります。頭金の残金を支払い、レンダー(貸し手)から借入金がエスクローの口座に入金され、エスクローはさまざまな支払い決済を行うと同時に、レコーディング(登記)を確認してエスクローが完了します。登記書は所在地の郡登記所から1ヶ月ほどしてから新オーナーの元に届きます。


更に詳しい米国不動産購入については下記のページをお読み下さい。

購入時ガイド

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米国と日本の
購入手続きの比較