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カリフォルニア州家屋賃貸に関する法律最新事情

コロナウィルス感染でカリフォルニア州の家屋賃貸 に関する法律がかなり改正されている。この内容について時系列でみてみよう。
AB1482(州議会法案 1482)
2019 年 6 月にニューサム州知事が署名したもので居 住物件に関する賃貸料増加に上限を設けるもの(レ ントコントロール)である。2020 年 1 月 1 日より施 行された。コロナウィルスと関係がないが、物件オー ナーにとって大きな影響があった。賃貸料の増加は年間 5%+所在カウンティー(郡)における CPI(物価 上昇率)か 10%のどちらか低い数値が上限となっている。CPI が 2%であれば、上昇率は最高 7%というこ とになる。また強制退去についてもテナントに非があるか否かで異なる取り扱いとなる。また各自治体で もレントコントロールがあり、その場合上限が低いものが基準となる。サンタモニカ市などでは同市が以 前より設定する上限が基準値となる。
州知事令
2020 年 3 月 4 日コロナ感染に関する州知事令を発動。

司法委員会
2020 年 4 月 6 日司法委員会で強制退去を一時的に廃止。8 月 14 日これを 9 月 1 日まで延期。現在強制退去 に関する施行開始時期は未定のまま。コロナウィルス問題のために賃貸料が支払えないテナントは最高 15 ヶ月まで居住が許される。
AB3088(州議会法案 3088)
「2020 年テナント救済法案」とも呼ばれる。コロナウィルス問題のために賃貸料が支払えなくなったテナ ントに対して採用された救済策。適用条件として書面でコロナウィルス問題によって経済的に困窮してい る内容をテナントが説明する必要がある。
同法案における適用期間は 2020 年 3 月 1 日から 2021 年 1 月 31 日までと決められている。救済の内容は 大きく 3 つに分かれている。

1. 救済期間の細分
2. それぞれの期間におけるオーナー側からテナントへの対応のやり方
3. 賃貸料未支払いによる負債は強制退去に関する負債ではなく消費者負債として扱うこと 以上の 3 つとなっている。

上記 1 における時期についてまず最初は「Protected Period」と呼ばれるもので 2020 年 3 月 1 日から 8 月 31 日まではテナントがコロナウィルス問題によって経済的な被害を受けているなら賃貸料を支払わない まま物件に住むことができると定めている。2021 年 2 月 1 日からオーナーは未支払い分を請求できるとし ているが、その条件として厳しい書類審査とテナントへの通知が義務付けられている。 2番目の時期は「Transition Period」(移行期)と呼ばれるもので2020年9月1日から2021年1月31 日までとなっている。この期間においてテナントが引き続きコロナウィルスによって経済的ダメージを受 けている場合、毎回支払うべき契約賃貸料の 25%を支払えば住み続けて良いと規定している。
SB91
2021 年 1 月 29 日州知事は AB3088 から派生した SB91 と呼ばれる法案を発令した。これによりテナントに 対するさらなる保護と未支払い・強制退去に関する期限の延長が認められた。また連邦政府からの賃貸ア シスタンスプログラムの核となる 26 億ドルの予算が主に低所得者を対象に支給されることになった。2020 年 4 月 1 日から 2021 年 3 月 31 日までに賃貸料が支払えないテナントはこの連邦救済プランに申請するこ とが求められている。同時に 2020 年 3 月 1 日から 2021 年 6 月 31 日までにおける未支払い分をオーナー が以前のように Collection Service(借金回収業者)に移譲することを禁じている。またオーナーが未支 払い分に対してペナルティーを科したり、信用調査企業に報告すること、テナントからの合意なく敷金か ら不足分を差し引くことを禁じている。 2021 年 7 月 1 日までは不法占拠としてテナントを扱うことも禁じられている。2020 年 9 月 1 日から 2021 年 6 月 30 日までの間にテナントがレントの 25%を一回でも支払えば、不法占拠の対象にはならないとし ている。

連邦政府によるレンタルアシスタンスプログラムで対象となる支払いは未払いレント、今後のレント、公 共料金、住居に関する経費となっている。救済金の発行にはテナントがオーナーに支払ったというレシー トを提出することが義務付けられている。 同プログラムから支払いを受けるオーナーに対しては(1)2020 年 4 月 1 日から 2021 年 3 月 31 日までの 契約レント総額の最高 80%までしか受け取れない。(2)同期間における未払いレントに関するクレーム は一切しない、という条件が付けられている。
オーナーが連邦政府のアシスタンスプログラムを拒否した場合、テナントは州政府によるアシスタンスプ ログラムにも申請できるが、オーナーが受け取れる額は契約賃貸料の最高 25%までと低い水準である。

一連の法案はほぼ一方的にテナントの権利が保護されているという声が強い。支払われるレントの金額、 契約不履行者に対する州による一方的な保護、裁判所機能の意図的な低下、オーナーが自らの財産を使用

する権利の剥奪、オーナー・物件管理者へのさらなる負担増などどれを取っても合衆国憲法違反とも言え る部分が多々あり、今後も両者からかなりの論議を醸し出すことは間違いない。