(ローラタープリー氏の記事より)
私は長期間住宅市場の調査レポートを発行しているが、不動産屋住宅市場を語る場合重要な指標はアフォ ーダビリティー、住宅金利、インフレ率、GDP、雇用統計などの数値である。これらによって住宅市場は大きく影響を受けている。その中でも特に影響力が大きいのは雇用統計である。

労働統計局(Bureau of Labor Statics)から3月の雇用統計が発表され、農業部門を除いた新規雇用者 数は 17万8000人と2月のマイナス13万3000人を大きく上回ったと報道された。 しかしポータル最大手のZillow社ではこの数値は必ずしも景気の上向き感を反映していないという。
3月は確かに雇用創出数が大きくプラスになったが、同時に労働統計局では 1月、2月の数値を改定している。2ヶ月の改定はいずれも当初の予測を下回るもので、これらを総合すると決して現在の雇用状況が上向いているとは言えないとZillow社では指摘している。しかも3月の統計では全業種がプラスになったというわけではなく、いびつで不安定な動きを示している。ヘルスケア業界はプラスであったがストライキが終わった直後であることが要因となっている。建設業界や物流業界はプラスとなったが、政府系や金融業界ではマイナスとなっている。
失業率は2月の 4.4%から3月は 4.3%に下がったというが、労働統計局が発表した限界雇用者の数は32万5000人増加している。このカテゴリーの定義は仕事ができる状況にあって仕事を過去1年間探している が過去1ヶ月は就活をストップしている人たちのことで、失業者とみなして良い。就活を諦めて失業者に 含まれていない人数が相当数いると思われる。単なる統計数値だけで経済の底流に潜む大きな動きを把握 することには無理がある。
賃金前月比の伸びは2月に0.4%であったが、3月は0.2%に落ち込んでいる。このような状況を考えると米国で毎年これから始まる住宅購入シーズンで今年は良くなるという兆候は見られない。住宅購入に必要な頭金やローンの支払いをスムーズにできるだけの余裕が見られない。
Zillow 社エコノミストオーフィディボンギ氏は「3月統計は表面上ポジティブに見えるが、実際の雇用市場は低迷している。新規雇用者数は1年間ほとんど伸びていない。最近になってその傾向がさらに強まっている。」と述べている。雇用統計を見た消費者の反応は次のように考えられる。
• 不確実性が増加する中で住宅の購入は控える。
• 賃金が伸び悩む状況では頭金を増やしたり、毎月のローン返済をスムーズにできない。購入を思いとどまるか、購入しても家の支払いで家計が苦しくなる。
• 住宅を売ろうと考えている売り手にとっても市場の先行き感が不透明である限り当面売却、買い替えを控える傾向にある。
• 雇用統計数値の脆弱さによって景気の悪化が予想されるとローン金利が下がる傾向にある。今回の統計データでは良い数値と悪い数値が混ざっているため、金利が下がる要因とはならない。