2025年 住宅ホット市場

(Zillow 社レポートを要約)

不動産ポータル大手 Zillow 社がこのほど今年の住宅ホット市場について調査を行った。ランキングトッ プはニューヨーク州バッファロー市(ナイアガラの滝近く)であった。続いてインディアナポリス、プロビデンス、ハートフォード、フィラデルフィアがトップ5にランクインした。バッファローは昨年もトップを獲得しており2年連続となった。値頃感と売り物件数が需要に追いつかない状況がホット市場を生み出している。

2025年住宅ホット市場トップ10

同社は住宅価格の伸び率、売れ行きのスピード(在庫日数)、地域内雇用状況、新築件数、住宅所有者数 などの基本データをもとに試算している。例えば新たな雇用が創出されるとそこに住宅需要が増加する。 新築件数が増えなければ当然需給のバランスが崩れホット市場になる。バッファローはその典型である。 2位のインディアナポリスは住宅価格の伸び率が大きな要素となっている。プロビデンス、ハートフォード、フィラデルフィア各都市は住みたい都市で人気が高いニューヨークやボストンに近くて値頃感があることが要因だと言える。

ランキングが最も上がったのはバージニアビーチで一気に13位上昇している。雇用の増加に新築件数が全く追いつかない状況が原因となっている。逆にランキングを落としたのはメンフィスで30位も下がっている。雇用の創出が減り新築が大きくダブついている事による。

では各要因別に今年の市場(トップ5を中心として)を予測してみたい。

価格上昇

昨年住宅価格は記録的な伸びを示した。後半に入って住宅金利が期待されたような下落がなかったため少し減速している。今年も全米で見ると価格がソフトになる地域が一部見られるが、トップ5に関しては堅調な伸びが期待できる。ただ2021年、2022年に見られたような値上がりはこれらの地域においても見られない。インディアナポリスは昨年の2.8%から 3.4%に上昇する。2022年に上昇率が高かったタンパでは 昨年の-0.9%から今年は2.2%へと上昇が期待されている。

在庫・売却のスピード

在庫件数は昨年よりやや改善するものの金利が高止まりを続ける限りまだ不足状況が続く。これはトップ5だけでなくほぼ全米レベルで予想される。在庫日数が最も短い市場は昨年に続きハートフォード、シンシナチ、コロンバスがトップ3と予想される。いずれの地域でも需要に対する供給数が圧倒的に不足している。

人口構成

ベイビーブーマー世代とミレニアル世代が米国の人口比の中で大きな比重を占めているが、両世代とも住 宅市場で活発に動いている。ベイビーブーマーは高年齢に達しても常に自分たちのライフスタイルにあった住宅を求めている。またミレニアル世代は30歳台に達し、新規に住宅を購入する時期に入った。今年 住宅所有者の数は全米50市場中42市場で増加すると見られている。 その中でもトップはオースティンで年間 8.9%の増加が見込まれている。ただしこの増加に匹敵するだけの在庫があるのかは疑問である。続いてオーランドが 8.6%、ジャクソンビルが 7.8%となっている。逆に所有率が減るのはバーミンガムが-2.9%、ハートフォードが-2.7%、オクラホマシティーが-2.6%となっている。

一方市場がクールダウンすると見られている地域はニューオリンズ(価格推移-3.8%)、サンフランシス コ、サンノゼ、ポートランド、オースティンとなっている。