(レッドフィンニュースを要約)
米国全土で今年アパートとして建築が認可されたユニット数は人口1万人に対して13ユニットであった。これはコロナの最中であった2021-2023年における18ユニットと比較すると30%以上減少している。
米国における建築許可は各地方自治体が申請者であるデベロッパーに対して発行するもので、レッドフィン社では全米で人口が75万人以上の79地域で5ユニット以上のアパートを対象に調査を行なっている。今回減少の原因は2つ考えられる。
1.金利の高騰により建築プロジェクトの採算が合わない
2.レンタル需要の急増によりここ数年アパートの建築が急増しており、需給のバランスが多くに地域で供給過多に移っている。新築物件で完成から3ヶ月以内に完全入居となる割合が47%と2020年以来最低の水準となっている。
全米地域別人口1万人あたりのアパート建築許可済みユニット数
(ライトグリーン=少ない ⇄ ダークブルー=多い)
建築許可数は減少しているが、完成して賃貸に回る供給数は増加している。すなわち許可発行と完成後賃貸に出るまでの期間でタイムラグが存在している。供給過多になっている地域においてはオーナーが他のアパートとテナント獲得を巡って競合関係にあるということになる。賃料もそれに従って伸びが鈍化している。パンデミック時には最大年間18%上昇していた賃料が現在1%にとどまっている。テナントにとって今は賃貸するチャンスであるといえる。ただ地域格差がかなり存在している。
建築許可ユニット数が最も多かった地域はフロリダ州ケープコーラル(人口1万人中27ユニット)である。ついでテキサス州オースティン(21)、ノースカロライナ州グリーンボロー(20)、フロリダ州ノースポール(18)、ネブラスカ州オマハ(17)、テネシー州ナッシュビル(15)、フロリダ州タンパ(14)、フロリダ州オーランド(13)、テキサス州ダラス(13)、オハイオ州コロンバス(12)などが上位を占めている。
これらの地域は全て南部のサンベルト地域にあり売買・賃貸共にホットなエリアであったが、このところ動きが冷え込み出している地域となっている。
逆に建築許可ユニット数が最も少なかった地域はカリフォルニア州ストックトン(0)、カリフォルニア州ベーカーズフィールド(0)、ロードアイランド州プロビデンス(0)、テキサス州エルパソ(1)、ルイジアナ州バトンルージュ(1)、オハイオ州クリーブランド(1)、カリフォルニア州フレスノ(1)、デトロイト(1)、オハイオ州デートン(1)、ニューオリンズ(1)となっている。
これらの地域は土地が限られている上に許認可のプロセスが複雑で難しい地域が多い。
賃料は33の都市圏中16都市においてこの1年間で下落している。これらの都市圏では供給が需要を上回ったためである。下落した地域では2021-2023年の期間に人口1万人あたり年間平均で14ユニットの建築許可が発行されている。逆に賃料が上がっている地域では許可ユニット数が7にとどまっている。
タイムギャップを考えると現在の賃貸市場の動きは2024年の建築許可数よりも2021-2023年における建築許可数と相関関係がありそうだ。
テキサス州オースティンでは2021-2023年に期間において年平均40ユニットの許可が発行されていたため供給過多が発生しこの1年間で賃料は7%落ちている。フロリダ州ジャクソンビルでは23ユニットの許可数があったが血大量は過去1年で10%下落している。
地域別アパート建築許可数の推移と比較
(75万人以上の79都市圏を対象、人口1万人中許可されるユニット数、2024年 vs 2021-2023
年平均、その間の増減)