リノベ・リフォーム済物件の見分け方

マイホームの買手にとって即入居可能な物件は価格が高くても魅力がある。特に新築でなくてもリノベ・リフォームされた物件ならなおさらである。分刻みで忙しい今日マイホームを購入後毎週ペンキや床を剥がして直す手間をかけられる人の数は少ない。そこでリノベ・リフォーム済の物件を探す場合の見分け方について検証してみたい。

リノベ・リフォームを行うのはオーナーによるDIY、オーナーが雇ったコントラクター・デザイナー、フリッパーと呼ばれる短期譲渡を狙う投資家の3つのケースが考えられる。最初のDIYでは得意であるとはいえ当然ホームオーナーという素人が行っている仕事なので、その質は多くの場合基準を満たしていない。プロを使ってもう一度やり直しということになる。電気配線など安全に関わる部分ではなおさらである。ここでは特に3番目のフリッパーによるケースを見てみよう。フリッパーは当然最小コストで最大限の利益を短期間で得ることを目指すプロである。安価な材料の使用や賃金の安い労働力を使うことは彼らのビジネスにとって至上課題である。見た目にわかりやすいコスメティックな部分に投資を集中させている。ただ目に見えない構造上の問題を直さずそのままにするか隠していたり、取得すべき許認可をスキップしていたりする場合があるので買い手としては十分に注意を払う必要がある。
悪いリノベ・リフォームに多い兆候は以下のようになる。

1.許認可が取れていない

リノベ・リフォームにはそのほとんどで市当局などからの許認可が必要である。許認可のプロセスでは業者が図面を提出して当局で建築基準法などの適応しているか、安全基準をクリアーしているかといったガイドラインを検証し、よければ工事開始、ダメなら訂正が求められる。工事途中や終了後当局からのインスペクターが工事部分を確認し最終的に許認可が降りる仕組みとなっている。つまり許認可には最終的に当局からのインスペクションレポートのサインオフ(お墨付き)が必要である。
これを買手や買手エージェントが見逃してしまうケースが多々ある。
許認可がない場合購入後でも取得できるがその分の費用と手間を買手が負担することになる。またリセール時に次の買手から要求されることがある。許認可は物件に対する信頼性を高めるため、できるだけ仮契約期間中に売り手に対してリクエストするべきである。リクエストが拒否された場合、売り手が何か重大な瑕疵を持っていることも考えられるのでキャンセルも含めて慎重に進めることをお勧めしたい。

2.一部分だけにペンキが塗られている

ペンキはトラブルのある部分を隠すのに好都合である。屋根の雨漏りや配管からの水漏れ、カビ、火事の後を直さずに隠していることも考えられる。色や表面のフィニッシュが他の部分と微妙に違うのでよく見ればすぐに判別できる。

3. 配管や配線がチグハグに見える

配管の場合チェックポイントは古い部分と新しい部分のつなぎ目である。古い部分は錆びた鉄管で新しい部分は銅管やフレックスパイプを使っていることが多い。こういったつなぎ目に水圧のストレスが集中して壊れることが多い。古い配管が多いと水圧が概して低い。トイレを水洗するなどして排水管の流れも見るべきである。少し流しただけで数カ所の洗面台に水が溜まる場合明らかに家全体の排水の問題がある。
電気系では配電盤が古いと十分な電流が流れないことが多い。電気を大量に使用する最近の家では最低200アンペアの配電盤を完備した物件がのぞましい。そうでないとすぐにブレーカーが落ちてしまう。

配管や配線は家全体で取り替えるとなると非常に高額な修理となる。フリッパーにとってキッチンのクオーツカウンタートップなどと違って目に見えるものではないため、できるだけ配線や配管にはお金をかけたくないというのが本音である。

4. キャビネットやドアーの不具合が多い

キャビネットやドアーがうまく閉まらない、ずれがある、傾いているといった問題は些細に思えるかもしれないがこれこそ業者の品質管理に対する姿勢が最も顕著に出る部分である。あるいは業者が使っている労働者の経験やテクニック不足からくるものかもしれない。
時間がかかるが一つ一つ念入りにチェックしたい。

5. フロアーがフラットでスムーズでない

フロアーの歪さは労働者の仕事の質を示すだけでなく時には、構造上のダメージ、シロアリや水漏れなどによる長期的な問題が隠されていることがある。傾いたフロアーを暑いカーペットで誤魔化している場合もある。軋みや踏んで柔らかく感じる場合なども程度によっては注意する必要がある。

6. ドアーや窓がうまく作動しない

フリッパーにとってドアーや窓(特に窓)はコストと手間がかかるため、取り替えを嫌う。かといって修理が難しい。新しく取り替えた場合でもその取り付け具合をよくチェックする必要がある。新しい窓で多い問題は窓そのものはスムーズに動くが、窓枠周りのシールが十分でなくて雨の時期になって水漏れするケースである。雨が降らない南カリフォルニアで乾季に取引があった場合、数ヶ月後の雨季になって初めて発覚することもある。これは業者の手抜きに当たる。

家全体でドアーや窓の締まりが悪い場合、ただ古いだけでなく家全体が傾いてシフトしているケースも考えられる。こうなると大問題につながる。

いずれにしても仮契約期間中に買い手は家屋のインスペクターを雇ってコンディションを調査することをお勧めする。