2023年ホーム・インテリアデザイントレンド

(ピンタレスト社レポートから編集)

ピンタレスト社(Pinterest)はイメージベースのサーチエンジンを提供する大手企業である。ホームオーナーやデザイントレンドに興味ある人は少なくとも同社からの情報をアイデアを得る手段として多用している。これから2023年のデザイントレンドを見てみよう。

1.ヘレニスティック(ギリシャヘレニアスタイル)

ヘレニアスタアイルがノスタルジーもあって戻ってきた。リバイバルである。若い世代を中心に2000年以上前の文化を家に取り入れようとしている。アフロダイト(ギリシャにおける愛の女神)と風の壁紙(クロス)古代ギリシャ風の置物(花瓶、ろうそくたて、彫刻)、コロンス様式の柱などがこれにあたる。
イメージは女性的、フローラル、そしてソフトで優しいタッチである。
カラースキームはブルー、ゴールド、ホワイトとなっている。
バスルームなら大理石の床、アフロダイトの壁紙、ゴールドカラーのトリム、コロンティアン風の柱がふさわしい。

2.感性豊かなエスケープルーム

そもそもエスケープルームとは何か。これはひとりになって気持ちを落ち着かせる(または吐き出す)部屋のことである。世の中のペースがかくも速くて感情的になりやすくストレスが多いこの頃であるが、たまったストレスを沈めるかまたは大声で叫んで発散させるかは個人の選択による。
多くのホームオーナーは音楽ルーム、クリスタルリーディングや瞑想ルーム、怒りを発散させるルーム、ライブラリー、マッサージルームというように使っている。

3.ゴシックスタイル

ゴシックスタイルもリバイバルの一つである。
ゴシック様式は中世の封建時代に生まれたため暗く弾圧的なイメージを持つかもしれないが、必ずしもそうではない。濃いカラーをベースにして豪華絢爛としたビクトリアスタイルのようなイメージに人気がある。

建築からすると同スタイルはアーチ、モールディングなどを使用したキャッスル(城)のようなスタイルである。屋根は空に突き刺さるような尖った塔が特徴となる。窓も同様に縦に細長く上部が尖っている。
内部やインテリアはエレガントで荘厳なイメージが特徴である。家具も詳細にまでこだわった特別な家具であることが多くコストもそれなりにかかる。
タペストリー、キャンドルスタイルのライティング、黒い鋳鉄の調度品なども欠かせない。
カラースキームはブラック、グレーがメインでアクセントにバーガンディー、エメラルドグリーン、オーシャンブルーでを使う。素材はシルク、ベルベット、サテンなど高級素材となる。

4.バイオフィリックデザイン

バイオフィリックデザインは住環境に自然を積極的に取り入れることである。直接または間接的に自然を取り込みそこに住む人が自然とよりつながれるようにする。健康、環境、そして経済的にもメリットがあるとされている。
語源はBiophilia(自然愛)からきている。具体的には自然の空気や自然光、植栽、天然素材を住環境に取り入れることから始まる。窓面積を大きく取ることで自然光や新鮮な空気がいつでも取り込める。太陽光を妨げるカーテン、ブラインド、家具の位置などを変えるだけでも効果がある。

インドアプラントがあると光合成により二酸化炭素を酸素に変えてくれる。空気清浄機の役割を果たす。また見た目にも心を休めてくれる。

建材や調度品、家具には天然素材を使用する。竹、コルク、成長の早くサステナブルな木材、石、ラタンなどが好まれる。

家の内外に噴水を置けば水の音で癒される。噴水の大小に関わらず、水の流れる音の効果はある。

カラースキームはソフトグリーン、ライトブルー、レモンイェロー、ブラウン、ピンク、オレンジ、クリームなど。

5.カービー(曲線状)デザイン

インテリアや建物にもカーブ(曲線)が戻ってきた。ソファー、キッチンアイランド、プールデッキ、壁、バー、階段やその手すりなどあらゆる部分にカーブが見られる。

曲線は人間に安全で優しいをイメージ与える。一方直線と鋭角のエッジは危険、心配のイメージを与える。コロナ時代で心配とストレスを持っている多くの人にとって曲線が好まれるのは当然の帰結だと言える。
カラースキームは優しい自然のカラー。また素材も木、石、天然繊維などオーガニックなものが良い。

6.チェック(格子)柄

チェック(格子柄)がトレンドとなっている。ファッションではネイルや洋服、バッグである。ホームデザインではカーペット、タイル(床や壁)、食器や花瓶などで多用されている。

7.ストア(店舗)デザイン

ミレニアル世代、ジェネレーションX世代の間でオンラインや実際にインテリアやデコレーション、小物などを販売する店舗をオープンするケースが増加している。ピンタレストは店舗デザインでも影響を与えている。

8.バーキテクチャー(ペットのためのデザイン)

空前のペットブームとなってホームデザインやインテリアデザインにペットを大きな要素として捉えている。ラグジュアリードッグルームと呼ばれる犬専用部屋はもちろん、猫が天井まで登って遊べるキャットルームなど完全に家族として受け入れていることがわかる。家具ではベッドやソファーなど専用品が販売されている。今後もペット数は増加すると予測されるのでペットルームが建て売りのオプションとして常識になる日も近いかもしれない。

9.予想外の贅沢

キッチンやバスルームを豪華にすることはもう当たり前になった。これまで考えもしていなかったランドリールームやガレージ、ベースメント(地下室)、ヌック(家族用に食事をとるスペース)などを豪華にしようとする動きが高まっている。
こういったエリアでも家族やゲストが集まって会話したり時間を共有できるように工夫されている。つまり以前の家と違ってお客様用、家族用という境界線が家でなくなりつつある。家全体を有効活用するということが基本にある。
例えばガレージは本来車を保管しておくためのスペースであったが、多くの家で車をおかずに部屋として使っているケースが見られる。トレッドミルやボーダリングウォールなどを置いてジム、フロアリングにしてオフィス、ソファーやテーブル、TVやオーディを置いてエンターテインメントルームにするなどもはや埃と油で汚れたガレージのイメージとはかけ離れている。クリーンなEV時代になればいよいよその傾向が強まりそうだ。