物件売却時に最も重要な課題はステージングと物件写真である。これはエージェントだけでなく売手にとってもいかに良い値段で早く売れるかという点において取引の鍵となっている。
物件写真を専門に提供するホームジャブ社がこのほどステージングと物件写真に関して消費者アンケート調査を行った。
それによるとトップエージェントはほぼ全員がプロに写真撮影を依頼しているという。
その理由は以下の写真を比較すれば理解できる。
左はグーグルマップで右はプロによる写真である。
ホームジャブ社の調査は米国各地のエージェント300人を対象に行われた。その結果を要約してみよう。
1. 回答者中プロの写真家を雇うと答えたのは72%、物件価格がある一定額以上の場合に雇うと答えたのは15%、売手のリクエストがあれば雇うと答えたのは2%にとどまった。
2. 好きなバーチュアルツアーの種類については21%が3D・360ツアー、35%がビデオウォークスルーツアー(実際に歩くように部屋を進みながら見られるツアー)、31%が両方となっている。
3. 掲載する写真の数では、51%が最低30枚、19%が最低40枚、5%が最低50枚、5%が60枚以上となっている。
4. ステージングではバーチュアルステージングが実際のステージングの割合を少し上回った。これはバーチュアルステージングのコストが安いこと、簡単にできることがその理由となっている。
5. 右上写真のような夜の写真は消費者を惹きつけるという点において通常の写真より3倍の効果があるという。
ホームジャブ社CEOジョージョシュエル氏はステージングと写真を撮影する上でのポイントを以下に説明している。
1. 撮影は曇った日がベスト
一般的には晴れた日がベストだと考えられがちであるが、曇った日の方がギラギラした部分や影が少なく光線が一定していて安定した画像が撮れる。青空にこだわるなら画像編集ソフトで簡単に修正できる。
2. 朝、撮影すべし
朝の数時間が写真撮影には理想的である。午後より光線や影が柔らかい。
3. 道路やドライブウェイに駐車している車を避ける
車は画像の邪魔になる。車が駐車できない道路清掃日を撮影日にすると良い
4. ゴミ箱やゴミは見せない
家ではなくゴミ箱や自転車、子供のおもちゃが写真の焦点になってしまう。ゴミ収集日は撮影に向かない。
5. 撮影前に庭師に確認
撮影前に庭師に頼んで芝生を刈り、落ち葉やゴミを拾ってもらう。枯れた花や植物は悪いイメージを与える。季節の花や植物に植え替える。
6. ドローン撮影前に近所に知らせる
ドローンを警戒する人が多い。警察沙汰にならないためにも近所に事前通知する必要がある。
7. 片付けとパーソナルアイテムを隠す
「断捨離」がステージングの基本である。ものが少ないほど良い。部屋が大きく、使いやすく見える。おもちゃは間違いなく隠すべきである。売手のライフスタイルを見せてはいけない。買手が引っ越して自分たちのライフスタイルが想像できるようにすることがステージングの目的である。
家族写真やトロフィーなど個人的なものは一切見せるべきではない。
8. バスルームは最も難しい
トイレは見たくない人が多い。それ以上にシャンプーや化粧品はタブーである。シャワーガラスの曇りも除去したい。浴室のラグもある人には衛生的でないという印象を与える。
9. ほこりも映らないように
フロアリングやカウンタートップなどのほこりは写真に写りやすいので要注意。
10. ペットは写真で最悪
ペットは家の撮影だけでなくショーイングに最悪である。ペットの遊び道具や餌箱、ケージなども写真に写してはいけない。アレルギー体質やペット嫌いに人はそれだけで物件に興味がなくなる。
11. 家具は必要
空いた部屋はクリーンに見えるが、寸法やサイズが想像できない。小さめの家具をゆとりを持って配置すること。
12. 隠すのはガレージや空いた部屋を使う
どうしても写真に写したくないものをうまく隠せない場合、ガレージか一部屋を保管用にして撮影しない方法もある。
物件はまさに商品であり、ステージングや写真・ビデオ撮影はいまやマーケティングプランの中核と言える。