住宅ローンに AI 採用

住宅ローンに AI 採用 (マットカーター氏レポートを要約)

ユナイテッドフォールセールモーゲージ(UWM)社はローン申請書類の認識と処理に AI を利用して自動化 する技術をこのほどスタートさせた。これを使うとローンエージェントが提出したローン申請書類を最短 15 分で認可まで持っていくことが可能である。

BOLT と呼ばれる同システムはすべてローンエージェントが入力するセルフサービスで同社がメインに利 用している EASE と呼ばれるローン処理システムと併用して使われる。

BOLT は借手の身分証明書、収入証明、登記情報、信用調査を元に分類分けし分析する。何か不明な点や 一致しないデータがあれば警告を発信する。同社 CEO マットイシュビア氏は「当社ではローン申請書類の 認識と分類分けを自動化させるシステムを自社で構築した。これによってローン申請当初の認可にかかる 時間をこれまでの数時間から数分に短縮できた。同時に申請に不備やエラーがないよう数々の安全策を追加した。」と述べている。

住宅ローン企業にとってローン申請の AI 化は今や必要不可欠となっている。これにより申請から認可ま でのスピードアップ、コスト削減、ビジネスのスケールアップが可能となる。技術サポートでは AI やマ シーンラーニングを得意とするグーグルクラウド、アマゾン Web サービス、マイクロソフトアズールなど が採用されている。これを各レンダーでカスタマイズしている。

グーグルクラウドを例にとると同社はレンディングドック AI と呼ばれるシステムをローン企業に提供し ている。同社副社長レジェンシェス氏は「住宅ローン業界は AI によって業務の効率化と顧客サービスを 大幅に改善できる。従来からの人手によるローン融資業務は非効率で企業にとって大きな足枷となってい る。」と説明している。大方のローン企業で業務の効率化は 60%以上の成果があったという。

UWM 社はミシガン州ポンティアック市に本社を持つ住宅ローン専門銀行で、全米 1 位の規模を誇るロケットモーゲージ社に次ぐ規模となっている。ロケット社も AI を利用してローン申請のスピードアップを図 り低金利・低コストと合わせて消費者から絶大な人気を博している。

UWM 社の 2021 年第 2 四半期におけるローン総額は 592 億ドルで購入時のローン額は昨年同時期比で 97% アップ、昨年前半期との比較では 288%アップと驚異的な伸びを記録している。
前述のグーグルレンディングドック AI と競合する住宅ローン用 AI は他に 27 ほど存在している。いずれ も提出された申請書類を読み取る OCR(オプティカルキャラクターレコグニション)や NLP(ナチュラル ランゲージプロセシング)とマシーンラーニングが組み合わされたプログラムである。 エベレストグループ社が発表したインテリジェントドキュメントプロセッシング商品に関する調査では商 品のカテゴリーをリーダー(6)、成長株(16)、潜在成長株(5)に分類している。グーグルレンディン グドック AI は参入したばかりでその中に含まれていない。

このように AI や IT は今やこれまで適用が困難と言われてきた住宅ローン融資といったいわゆる聖域にま でその領域を伸ばしている。

2021 年 IDP(インテリジェントドキュメントプロセッシング)商品の比較
(各商品名、縦軸:市場への影響力、低→高、横軸:商品の適応性、ブラックドット:リーダー、オレンジドット:成長株、ホワイトドット:潜在成長株)


(エベレストグループより)