不動産ニュース
iBuyer と既存不動産仲介業者とのハイブリッド型が増加
(マイクデルプリート氏の記事を要約)
iBuyer ビジネスの形態が大きく変わろうとしている。大手のオープンドアやオファーパッド各社が従来型仲介 ビジネスをスタートして iBuyer ビジネスと併用することを決めた。これで両社はこれまでの直接買取ビジネス に加えて売買専任契約も行うことになる。iBuyer ビジネスと従来型仲介ビジネスのハイブリッド型というのが 新しいビジネスモデルである。
iBuyer オープンドア社では上図のように左側が iBuyer プログラム、右側が専任契約となっている。これまで iBuyer プログラムにおいて売却したいが同プログラムは利用したくないという売手の場合、せっかく得たリード情報 からなかなかビジネスにつなげられていなかった。これを一部でも自社で専任契約を確保できれば大きな収入 源になるとみられる。
実際 iBuyer プログラムでは買取価格を提示した売手のほんの一部しかビジネスにつなげていない。2019 年 Zillow 社は買取価格を提示した 26 万 4000 人の物件所有者(潜在的な売手)のうち同社が買い取ったケースは 6500 件(2.5%)とわずかである。残りの潜在的な売手(25 万 7500 人)のうち 40%がその後従来型仲介企業で 売却している事実を考えるとその潜在性の大きさがわかる。
iBuyer これまで Zillow 社では iBuyer プログラムにかからなかった物件所有者に対して同社プレミアエージェントネ ットワークに紹介している。同様にオープンドア社ではパートナーエージェントに紹介している。両社はそれ ぞれのエージェントネットワークに加入しているメンバーエージェントから広告料を取っている。 ただこの紹介ネットワークからビジネスにつなげるには難しい面がある。iBuyer と従来型仲介ビジネスのやり 方が大きく違うこと、そして紹介されるエージェントは独立採算制、個人事業主であるため、ビジネスのやり 方やポリシーなど大きく個人差がある。オープンドア社や Zillow 社が自社のポリシーややり方を個人事業主の エージェントに徹底させることは困難である。したがって両社が目指すスムーズな紹介ということにならない。 逆にクレームなどで企業イメージに傷がつきかねない。
今回自社でも専任契約を結べることにより消費者にとって大きな安心感を与えることができる。インスタント オファーかリスティングという選択肢がそこにある。
一方従来型仲介企業も黙っている見ているわけではない。Zavvie や Homeward といったサービスを利用してイン スタントオファーを選択肢として提供できるようにし始めた。
Lamacchia Realty、Matt Curtis リアルエステート、 8z リアルエステート各社はすでに買取用の資本を投資家 から集めてインスタントオファーをスタートさせている。大手ではケラーウィリアムズ、レッドフィンナウ、 リアロジーリアルシュアーなどがインスタントオファーに名乗りをあげている。
既存仲介企業にとってもインスタントオファーを加えて売手に選択肢を提供できるメリットは大きい。
オープンドア、オファーパッド各社にとってもフルサービスを提供できるようになった。両社ではフルタイム で給料制のスタッフを雇用してエージェントに起用している。オープンドア社では一部の地域においてパート ナーエージェントを起用している。自社従業員を雇用することにより両社のやり方やポリシーが徹底できるた めリードから売り上げにつながる割合(Conversion rate)が高くなる。
これは 4—5 年前からスタートした iBuyer 企業にとっても大きな変革であると言える。