不動産ニュース

消費者がマイホームに求めるもの

リサーチ企業 OJO ラボ社はコロナウィルスで消費者がマイホームに求めるものがどれほど変化しているか アンケート調査を行いその結果を報告した。自粛や外出禁止令が出されるなかで多くの人々にとってマイ ホームは 1 日のほとんどの時間を過ごす最も大切な場所となっている。

今年 4 月時点では不安要素があまりにも多くて調査中 80%の買手がマイホームを購入することを中断して いた。6 ヶ月後の今年 10 月になると需要が戻り、一部のエリアでは完全な売り手市場が続いている。この 変化の内容を見てみよう。

1. 住みたい地域

住みたい地域はコロナ以前と以後でさほど変わっていない。モバイルアプリを使ってアンケート調査 を行うリサーチ企業モボト社が発表した米国内で住みたいカウンティー(郡)のランキングを発表し ている。

下図のように 2019 年と 2020 年に人気があったカウンティーのトップ 10 が出ているが、さほど内容 は変化していない。トップ 100 をとっても同様の結果となっている。
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2. エリア人気と価格の相関性

人気のあるエリアはコロナにかかわらず価格も高水準で推移し、人気のないエリアは価格が低迷して いる。
つまり消費者は全くこれまでの場所と違う場所に移動することを好んでいない。
同調査では地域を 4 つのカテゴリーに分けている。下記グラフの色分けで、オレンジ:人気の高いカ ウンティー、ダークパープル:人気カウンティー周辺のカウンティー、ブルー:人気の低いカウンテ ィー、ライトパープル:人気の低いカウンティー周辺のカウンティーの 4 つである。
オレンジにあたる Saffolk、Nassau、San Bernadino 各カウンティーなど人気が高いカウンティーでは コロナ以前の値上がり率 2.3%からコロナ後は 3.6%に上昇している。 ダークパープルにあたる人気カウンティー周辺ではコロナ以前に 3.2%の値上がりがあったが、以後 は 0.8%と伸びが落ちている。
ブルーにあたる人気が低いカウンティー(Dallas、Broward、Maricopa)ではコロナ以前に価格はほぼ 横ばいであったが、以後マイナス 2.8%と下がっている。
ライトパープルにあたる人気が低いカウンティー周辺のカウンティーではコロナ以前に 1.5%と微増していたが以後もこの兆候が続いている。

4 つの地域カテゴリー別住宅価格の推移比較

(20 万-60 万ドル、2019 年 1 月から 2020 年 9 月まで)

3. 住宅に求める機能

住宅に求める機能が変わってきた。検索時に最初に求めるものはベッドルーム数(最低 3)やバスル ーム数(最低 2)で、これは変化していない。 しかし敷地はより大きいものを求めるようになっている。2020 年 3 月から 4 月のたった 1 ヶ月で消費 者が求める敷地面積の大きさは 6%も伸びている。1 月から 9 月の期間で見ると 700sq.ft.(約 20 坪) も上昇している。

消費者が求める床面積も 3 月から 4 月の 1 ヶ月で敷地ほどではないが 2%伸びている。 このように郊外でより大きなスペースを求めている。都市部の狭いエリアから郊外へというトレンド が基本となっている。
求められる機能には地域差がある。人気順にあげてみよう。
■ シカゴ:ベースメント(地下室)、裏庭、ランドリールーム
ダラス:裏庭、セントラルエアコン
■ ロサンジェルス:ランドリールーム、裏庭、ウォークインクロゼット
■ オースティン:裏庭、ウォークインクロゼット、オープンフロアプラン
■ フェニックス:ファン、裏庭、ウォークインクロゼット

求められる床面積と敷地面積の推移

(床面積 1460-1510sq.ft.=約 140―150 m²、敷地面積 8000-9000sq.ft.=約 230-260 坪、2019 年 1 月から 2020 年 9 月まで)

4. マイホームを検索して見るのが好き

多くの消費者はマイホームを検索してみることが好きである。また家をリフォームすることも好きで ある。マイホーム購入やリフォームを 24 時間放映する HGTV の人気が高いのはその証である。しかし コロナの状況で家を見たり検索する方法が変化している。 買手が実際に家を見ることは控えたいのはもちろん売り手も必要のない内覧を嫌う傾向にあるため、 出来るだけデスクトップで物件を見ることが主流になっている。バーチュアルツアーはその最先端だ と言える。特にビデオツアーは売却側のマーケティングとして当たり前になっている。
このように消費者の行動はパンデミックで変化しているが、これは今後も持続するトレンドかどうかは今 の時点で判断が難しい。今後の状況次第でかなり流動的だと言える。ただ物件を検索し見る方法はウェブ ベース、バーチュアル、3D がますます進化して永続的なものになりそうである。